個人の方からのご依頼で、ハードカバーの絵童話(絵本)を制作しました。流通に乗る書籍ではなく、お客様の記念冊子としてお作りしたものです。

床山

物語の執筆は、夫で児童文学作家の南田幹太(なんだ・かんた)が担当しました。私は作画とブックデザインを行っています。

ご依頼主の思い

千葉県で土木業を営まれているお客様からご相談があったのが、2022年9月のこと。お仕事柄、周囲の自然や、地元に根を下ろしてこられた亡きお父様への畏敬と感謝の念を強くお持ちの方です。また、業務上、環境に負荷をかけてきたという思いから、自然の再生をテーマにした昔話風の物語を、お父様の命日に合わせて本の形で残したいとのご要望がありました。

制作の流れ

  1. ヒアリングと取材
    南田とともに千葉までお伺いして、ご本人の思いやご希望をお聞きしました。ご自分で原作となるお話をすでにお考えだったので、それを核として制作していくことになりました。物語のおもな舞台は、印旛沼とその近くの神社です。沼や川辺の風景、神社の様子などを写真に収めたり、昔の印旛沼の風習や言い伝えを知るために民族資料館で資料を集めたりしました。

  2. 本文作成・タイトルの決定
    話に盛り上がりを加え、全体の構成も整えながら、原作をもとに南田が物語を執筆しました。タイトルは、ご依頼主の意向で『いしの川のぢいさん ー 迷い子の神様と化け物のらくらく』に決まりました。

  3. ページ割りとラフ画の作成
    文の量をもとに、床山が製本にキリのいいページ数を決め、それぞれのページにテキストを流し込んでラフ画(下絵)を作成していきました。CLIP STUDIO PAINT PRO での作業です。

  4. 本画の作成とページデザイン
    ラフ画をご確認いただいた後、修正を行い、中面と表紙の本画を制作しました。文章のブラッシュアップの工程も挟みながら、ページ内にテキストを配置してデザインも行いました。お願いした印刷会社では、入稿用データは AIファイルで OK とのことだったので、ページデザインは Adobe Illustrator で行いました。

  5. 校正
    自宅のプリンタで出力し、本文と挿絵のチェックを行いました。

  6. 簡易色校正
    印刷会社に色校正の出力をお願いしました。印刷されたものを改めて見ると新たな修正箇所が散見され、何度か入稿し直して再出力をお願いすることになりました。

  7. 最終版データの入稿・印刷
    規定に合わせて表紙のデザインを行い、データ入稿後、本番の印刷へ進みました。

完成した冊子

絵童話『いしの川のぢいさん』表紙イメージ
絵童話『いしの川のぢいさん』表紙イメージ

全36ページです。主人公のおじいさんのキャラクターは、ご依頼主のお顔の造作も参考にさせてもらいつつ、穏やかな印象になるようにお描きしました。

絵童話『いしの川のぢいさん』扉イメージ
絵童話『いしの川のぢいさん』扉イメージ

本編の前に、今を視点とした前書きがあるため、扉の前の見返し部分にテキストを印刷してもらいました。

絵童話『いしの川のぢいさん』中面イメージ
絵童話『いしの川のぢいさん』中面イメージ1
絵童話『いしの川のぢいさん』中面イメージ
絵童話『いしの川のぢいさん』中面イメージ2
床山

夫と共同で制作したおかげで、読み応えと見応えのある絵本に仕上がったと思います。書店に並ばないのが残念…。印刷は、株式会社 創造社にお願いしました。

制作データ

使用媒体記念冊子(A4、ハードカバー)
発注元個人
制作日数約1年
使用ソフトCLIP STUDIO PAINT PRO, Adobe Illustrator, Adobe Photoshop
データ形式AI
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絵本の制作、承ります

絵本や絵童話の挿絵もお描きしています。制作は、集めた資料を十分に検討した上で進めていきます。児童文学作家の南田幹太との共同制作ができますので、物語の執筆と作画をワンストップで進めることも可能です。ご依頼から納品までには工程が多いため、お時間に余裕をもってご相談いただければと思います。